全身麻酔で脱毛すれば最大出力で照射できるから早く完了するって本当ですか?

医療コラム

ネットで「麻酔で最大出力にできる=早く終わる」という説明、正しいのでしょうか?
迷う男

「全身麻酔なら痛みがないから、最大出力でレーザーを当てられて脱毛も早く終わりますよ。」

一部のクリニックでは、こんな説明を受けた方もいるかもしれません。
しかし、麻酔科医であり脱毛医療を行っている立場から言えば、その説明は不正確です。

レーザー脱毛の効果は「出力(フルエンス)」だけで決まるものではありませんし、単に出力を上げればよいという単純なものではないのです。

この記事では、医学論文をもとに「出力を最大化すれば脱毛は早く終わるのか?」という疑問に、科学的根拠と安全性の視点からお答えします。


出力(フルエンス)を上げることで効果が上がることはある、が…
レーザー

まず、レーザー脱毛における出力(フルエンス)とは、皮膚に照射されるエネルギー密度のことです。
一部の研究では、確かに「高出力で照射すると効果が高まる」傾向が示されています。

例えば以下の研究があります:

  • Rogachefskyらの研究
     Nd:YAGレーザーを使用し、60 J/cm² および 80 J/cm²の高フルエンスで施術したところ、3ヶ月後に有意な減毛効果が見られました。
     ただし、副作用(紅斑・浮腫・痛み)も増加。
  • Goldbergらの研究
     50、80、100 J/cm² のフルエンスで照射した比較試験では、すべて一定の効果が得られたものの、フルエンスの違いによる有意な差は見られませんでした。

高出力のリスク:痛みだけでなく副作用も増える
注意

高出力照射には以下のリスクが伴います:

  • 強い痛み(麻酔なしでは耐えられないことも)
    痛い
  • 紅斑(赤み)
    赤み
  • 毛包周囲の浮腫(腫れ)
    腫れ
  • 熱傷(やけど)リスクの増加
    やけど

特にRogachefskyらの研究では、出力が高いほど副作用も強く出たことが報告されています。


では、「全身麻酔なら高出力でもいい」のか?
パワーアップ

「痛みがない=最大出力で照射してもOK」という発想は、半分正解で、半分間違いです。

確かに、全身麻酔を使用すれば痛みの問題はほぼゼロになります。
しかし、レーザー脱毛で重要なのは「痛みの有無」だけではなく、皮膚・毛・毛周期・部位ごとの設定最適化です。

出力だけを上げれば効果が出るわけではなく、副作用やダメージの蓄積が肌のバリアを損ねて治療の中断につながる可能性もあります。


最新の知見では「低出力+高頻度」でも十分な効果が得られる
低出力

Braunらの研究では、低フルエンス・高繰り返し率(蓄熱式)でのレーザー脱毛が、従来の高フルエンス・低頻度の脱毛と同等の効果を持ち、副作用が少ないことを報告しています。蓄熱式の効果を否定して熱破壊式に強いこだわりを持つ患者さんやクリニックもありますが、それは医学的には正しいことではありません。

つまり「出力MAX=最善」ではなく、患者さんにとっての最適な設定こそが最良なのです。


渋谷三丁目クリニックの考え方:出力は“最大”より“最適”を
看護師

当院では、全身麻酔を使用しているからといって、無闇に最大出力で照射することはありません。

  • 肌質・毛質・部位・脱毛歴に応じた個別設定
    肌の色違う手
  • 複数レーザー機器(アレキサンドライト/ダイオード/YAG)による適切な波長選択
    レーザー種類
  • 施術後の肌状態を観察したうえで、回数を重ねながら出力を調整
    スプレンダーX

医療脱毛は「安全かつ確実に減毛する」ことがゴールであり、
「痛みがないからMAX照射すべき」という考え方は本質を見失っています。


まとめ|「最大出力」ではなく「最適出力」で、肌を守りながら結果を出す
カウンセリング

全身麻酔で脱毛を行う場合、痛みがなくなることで照射出力の選択肢は広がります。
ですが、それを「最大出力にすれば早く終わる」というロジックで一律に適用するのは非科学的です。

安全性、効果、副作用、肌への負担などをバランスよく考慮した“最適なレーザー設定”こそが、最も効率的で医学的に正しい脱毛法です。

全身麻酔脱毛=ただの贅沢ではなく、
痛みに悩む方や、効率的に脱毛を終わらせたい方にとって、科学的に裏付けされた新しい選択肢であるべきだと私たちは考えています。
喜ぶ男


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【参考文献】

[1] Rogachefsky AS, et al. “Evaluation of long-pulse Nd:YAG laser for hair removal: Efficacy at 3 and 6 months.”
[2] Goldberg DJ, et al. “Laser hair removal with varying fluences: A prospective comparison study.”
[3] Braun M, et al. “Hair removal using low fluence, high repetition rate diode laser: Comparison with traditional methods.”

【監修】
理事長竹森先生

竹森 健 医師(麻酔科専門医)
渋谷三丁目クリニック 院長
日本麻酔科学会認定 麻酔科専門医
10,000件以上の麻酔実績、2,000件以上の心臓血管麻酔経験を持ち、現在も心臓手術麻酔を担当する現役の麻酔科医。
1万件を超える麻酔管理経験をもとに、安全で快適な医療脱毛を提供しています。
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