ED(勃起不全)は、男性の性機能障害の一つであり、十分な勃起を得ることができない、または維持できない状態を指します。
EDは単一の原因によるものではなく、多因子性の疾患であり、以下のように分類することができます。
1. 器質性ED(Organic ED)
器質性EDは、身体的な異常が原因となるものです。
主に以下の4つのタイプに分類されます。
○血管性ED(Vasculogenic ED)
・動脈硬化による血流低下(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)
・静脈漏による血液の早期流出 ・心血管疾患との関連(EDは冠動脈疾患の前兆となる可能性あり)
○神経因性ED(Neurogenic ED)
・末梢神経障害(糖尿病性神経障害、脊髄損傷、多発性硬化症など)
・中枢神経障害(脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病など)
・手術後の神経損傷(前立腺全摘除術、膀胱がん手術など)
○内分泌性ED(Endocrinologic ED)
・テストステロン低下(加齢、精巣機能低下症、下垂体機能低下症など)
・甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症・低下症)
・高プロラクチン血症(下垂体腺腫など)
○薬剤性ED(Drug-induced ED)
・降圧薬(β遮断薬、利尿薬など)
・抗うつ薬・抗精神病薬(SSRI、三環系抗うつ薬、フェノチアジン系など)
・抗アンドロゲン薬(前立腺がん治療薬など)
・鎮痛薬・麻薬(オピオイドなど)
2. 心因性ED(Psychogenic ED)
心理的要因が主な原因となるEDで、以下の要素が関与します。
・ストレス・不安(職場・家庭の問題、生活習慣の変化など)
・うつ病・精神疾患(うつ病、不安障害、PTSDなど)
・パフォーマンス不安(性交時の緊張や自信喪失)
・過去のトラウマ(性的虐待や失敗体験)
3. 混合性ED(Mixed ED)
器質性と心因性の要因が重なるケースも多く、特に中高年男性では器質性要因が先行し、心理的要因が二次的に関与することが一般的です。
4. 生活習慣
・環境因子によるED 生活習慣や環境因子もEDに影響を与える重要な要素です。
・喫煙(血管障害を引き起こし、血流低下を招く)
・飲酒(適量であれば影響は少ないが、慢性的な大量飲酒はホルモン異常や神経障害を引き起こす)
・肥満・運動不足(メタボリックシンドロームとの関連)
・睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など) まとめ EDは単なる加齢現象ではなく、様々な病態や生活習慣が関与する疾患です。治療にあたっては、原因を正確に特定し、適切な介入を行うことが重要です。
EDの診断・治療についてさらに詳しく知りたい方は、ガイドラインや専門書籍を参照し、最新の知見をアップデートしていくことをお勧めします。