医療脱毛に使う麻酔の種類とは？麻酔科専門医が解説！

こんにちは、渋谷三丁目クリニック理事長の竹森です。

医療脱毛はエステや脱毛サロンの美容脱毛よりも脱毛効果が高いのはよく知られています。

その理由はエステやサロンでは使えない強い出力のレーザー脱毛器を使うことができるからです。

ただ、大きなエネルギーを使うため、脱毛時の痛みが強いというイメージもあります。

これは確かに事実ではあるんですが、医療機関はエステやサロンと違って麻酔を使うことができます。

上手に麻酔を使うことで痛みを抑えながらしっかりとした脱毛効果が得られるので永久脱毛をめざすのであれば積極的に使用を考えていいでしょう。

一般的な脱毛クリニックで使用される麻酔は以下の２種類です。

① 麻酔クリーム

②笑気麻酔

渋谷三丁目クリニックではこれら二つに加えて

③静脈麻酔

④ 揮発性吸入ガス麻酔

も使用することができます。

ではそれぞれについて解説していきましょう。

① 麻酔クリーム

リドカインなどの局所麻酔薬が入ったクリームになります。リドカインは歯医者さんなどで使われる麻酔の注射などに入っているものです。

脱毛部位に塗ることでだんだんと皮膚から吸収され、塗った部分の感覚が鈍くなります。

メリットは非常に簡単で誰でも使用できて、効果もそれなりに得られるという点でしょう。

デメリットは塗ってから皮膚に吸収されるまでに時間がかかるため、最低でも３０分以上前から塗らないと効果が得られにくいということです。

さらに、広い面積に塗ってしまうと血中濃度が上昇しすぎて局所麻酔薬中毒などの可能性もあるため、ヒゲやVIOなど部分的に使用するべきです。

局所麻酔薬にアレルギーがある方は使用できません。

痛みの鋭さや余韻などを抑えることはできますが、あくまで痛みをいくらか和らげる効果のみです。

②笑気麻酔

笑気は正式には亜酸化窒素といい、弱い鎮静・睡眠作用と鎮痛作用があります。単独で全身麻酔を行うことはできません。

笑気を吸ってもらうことで少しボーっとして全身の痛みを鈍くしますが、完全に眠ったり意識がなくなるようなことはありません。

笑気のメリットは全身の痛みが鈍くなるので、麻酔クリームと違い広い範囲で鎮痛が必要な場合にも役立つことです。

また、吸い始めてから割とすぐに効果が得られるので、急に痛みを和らげたいような場合にも使用しやすいです。

吸入を中止すると速やかに肺から排出されるのですぐに効果が切れるのも特徴です。

デメリットは副作用として吐き気がでることがあります。そのため、食後すぐには使用できませんので使用前には２時間程度、飲食を控えていただく必要があります。

効き方はお酒に酔っぱらったような感覚とか、体がスーッと沈んでいくような感じ、もしくは無重力のようにフワフワと浮いたような感じという表現をされることが多いようです。

非常に使いやすく効果もしっかりした麻酔薬ではありますが、完全に痛みを取れるわけではありません。

また、ガスの流量を十分にとって、しっかりと深い呼吸で吸入してもらうなど吸い方に注意することでより早く確かな効果が出ますので、そのあたりの注意も必要です。

③静脈麻酔

点滴を取ってそこから薬を血管内にいれることで、すみやかに完全に眠った状態を作ります。

静脈麻酔薬にはいろいろな種類がありますが、当院ではプロポフォールという薬を使用しています。

静脈麻酔はいわゆる全身麻酔の一種類で、寝ている間は痛みを感じることはありません。

プロポフォールのメリットはすぐに効いて、すぐに覚めるという使い勝手の良さが挙げられます。

また、施術の時間によって、医療用のポンプを使って少しずつゆっくり点滴することで必要な時間だけ寝ていただくことができる調節性のよさもあります。

プロポフォールは吐き気を生じさせにくく使用中の睡眠の質がいいため、短時間の使用でもかなり熟眠感を感じる方が多いのもある意味メリットかもしれません。

デメリットとしては点滴を取らないといけないことや、大豆アレルギーの人や心臓などが悪い人には使えないというくらいですが、ほとんど問題になることはありません。

ただ、使いすぎてしまったりすると血圧が下がったり、呼吸がうまくできなくなることもあるため、使用に関してはしっかりとした生体モニター監視下のもとで十分に経験のある医師以外は使うべきではありません。

プロポフォールだけでもレーザー脱毛は可能ですが、実際には、プロポフォール以外に笑気や鎮痛薬などを併用するバランス麻酔をおこなうことがほとんどです。

このように薬を組み合わせることでプロポフォールの必要量を減らし、副作用を抑えながらよりスムーズに麻酔から覚醒していただくことができます。

当院では麻酔科専門医が手術室に準じたレベルの生体モニターを使用しながら、麻酔を担当しますので安全な静脈麻酔、バランス麻酔での脱毛が可能です。

④揮発性吸入ガス麻酔

セボフルランという揮発性吸入ガスをマスクから吸っていただく全身麻酔の一種です。

笑気と少し似ていますが、セボフルランは完全に寝てしまい、寝ている間に痛みを感じることはありません。

使用には液体のセボフルランをガスにするための気化器がついた全身麻酔器が必要になります。

メリットはまず、とても強力な全身麻酔作用があることです。また、笑気のように吸って効果がでる麻酔薬であるため、点滴をとらなくても使用できます。

デメリットは使用後に吐き気がでてしまうことがプロポフォールより多い点です。

また、笑気はあまり匂いがありませんが、セボフルランは少し匂いがあるため口から吸入しないと刺激臭が気になるかもしれません。

プロポフォールにアレルギーがあるようなケースや、極端に痛みに弱くプロポフォールでは無意識に体が動いてしまうような方の場合には有効です。

以上が脱毛で使われる麻酔薬の紹介になります。

麻酔クリームや笑気麻酔は使用が簡単で痛みを和らげる効果がありますが、完全な鎮痛は得られません。

一方で、静脈麻酔や揮発性吸入ガス麻酔は全身麻酔となり使用中に痛みを感じることがなく、本当の意味で無痛脱毛が可能です。

男性は女性より毛が濃いため脱毛時の痛みも大きく、麻酔の重要性は高まります。

ヒゲやＶＩＯ脱毛に関しては麻酔はほぼマストと言ってもいいでしょう。

脱毛の痛みが不安な方はそれぞれの毛の濃さや痛みの感じやすさなどを踏まえて、どの麻酔法を選ぶかじっくり考えてはいかがでしょうか？

執筆者

竹森　健

麻酔科専門医　

渋谷三丁目クリニック理事長

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